「日本は東京オリンピックを中止すべき」と訴えた5月5日付ワシントンポストの記事は、国内の東京オリパラ開催是非の議論を加熱させるきっかけの一つになりました。 私はこの記事を読んで、少なくとも以下の2つの疑問が晴れなければ東京オリパラは実質開催不能と考えました。
1・バブル方式の費用は一体いくらかかるのか?財源は?
バブル方式は、参加するアスリートだけではなく、大会に関わるスタッフすべてをバブルの中に入れないと成立しないはずです。しかし、記事の中でも指摘があったように、聖火リレースタッフからすでに8人も感染者が出ています。バブル方式の有効性を確保するためには(不可能だとは思いますが)、総額で一体いくらかかるのか、試算すら聞こえてきません。バブル方式を導入した全豪オープンテニスでは莫大な費用がかかったと報じられていましたが、オリパラはその数十倍の予算が必要なのは自明です。国も東京都も後になって「これだけかかったので皆さんの税金を使わせてもらいました」と事後報告で済ませようとしているとすれば由々しき事態です。東京オリパラ関係者は、多額の費用を投じる前に一刻もはやく予算と財源を国民へ明らかにする義務を果たさねばなりません。
2・医療体制の確保は?
5月3日付けの時事通信の報道によると、組織委員会は日本スポーツ協会公認スポーツドクターを200人程度募集しているそうです。
え? 今?と、目を疑いました。オリパラまであと何日でしょうね? しかも、14日間、無償だそうです。専門職にボランティアを強いるとは常識的とは思えません。看護師500名募集も問題になっています。このコロナ禍でワクチン接種に携わる医療従事者も不足しているというのに、これだけの人数を確保するのは非現実的ではないでしょうか。
冒頭で紹介したワシントンポスト記事で「ぼったくり男爵」と称されたバッハIOC会長は先日の会見で日本人の忍耐力(perseverance)をしきりに称えていました。しかしこの忍耐力が世界中で問題になっているアジア人差別を助長してきたという見方もあり、私も同じ意見です。この点に関しては、別記事で詳しく論じたいと思います。
政府も東京都も組織委員会も現実を直視し、理不尽な要求にははっきりノーを突き付けて冷静に判断すべきです。開催後クラスターが大発生したら日本に対する世界の信頼は失墜します。
Times誌のジャーナリストは「開催決定はギャンブルと同じだ」と言っていました。
安心安全な開催の代償として莫大な借金を次世代の子どもたちに押し付けるなどあってはなりません。
私が持っている東京オリパラ関連グッズを集めてみました。二点のみですが!
バッジは正式なロゴが決まる前に使われていたものです。これで十分だったのになあと思います…