7月21日
前日の20日、古民家宿「長者屋」を案内して下さった奥田工務店さんに田舎の母屋に来てもらい、じっくりと状態を確認して頂いた。
どこから手を付けていいやらというほど手を入れるべき所が一杯だが、具体的に把握できたのは大きな前進だった。
何より、奥田さんという素晴らしいマイスターに母屋再建に力を貸して頂ける道がついたことが、心から嬉しい。
焦らず一つ一つ着実に取り組みたい。
7月22日 庄原滞在のクライマックスは、庄原市西城町で株式会社FOREST WORKERさん(以下F.W.)が手掛けている現場を訪問した。
去年の9月、NHK「クローズアップ現代」で山に負担をかけない小さな林業「自伐型林業」を知り、自分の山の管理はこの方法でやりたい!と願ってから僅か半年後に庄原市で「自伐型林業」を実践するF.W.さんと縁が繋がった。
まるで何百年分の先祖たちが道標を示してくれたかのような展開だった。
去る3月の帰省時にF.W.さんとお会いした時はうちの山林を見てもらったので、今回は私がお邪魔し、進行中の林業作業道を見学させてもらった。
朝8:30、待ち合わせ場所のドライブインへ。 現場はそこからさらに数km先にあった。
山主さんは代々昔ながらの手法で山を管理されてきたが、数年前、山林の一部を国の林業政策に則って施業する業者に任せた結果、山主さんの望まない状態に様変わりしてしまった。
そこで、隣にある手つかずの山林をF.W.さんが担当することになった。 自伐型林業が提唱する幅の狭い作業道を敷設中で、間もなく完成する。
完成後は適切な強度(国は3割、自伐型は2割)で間伐が行われる予定。
約2km弱の本線と3本の支線はまるで山がその存在を認めているかのように山林の中に溶け込んでいた。
各線を一緒に歩きながら、山のどの部分に水が流れやすいかとか、道の上に水が溜まらないようするにはどうしているかなど、丁寧に説明してくださった。
支障木や根っこを土留めに使ったり、作業中に出る土や石を別の場所で使ったりなど、できる限りその場で完結させる。
コンクリートを使わない。
木を切りっぱなしにせず放置しない。
これぞ環境保全。
うちの山にもこんな道をつけたいと強く願った。
隣の山も横目で見た。
幅の広い道がつけられ、沢山の木の表面が大型作業車によって傷つけられていた。
作業効率優先の大きな林業は確実に山を破壊する。
国は、次世代に繋がらない林業を本気でやめないと、日本に明るい未来はない。
幸い、流れは徐々にSDGsに向かいつつある。 この流れを一時的なブームに終わらせてはいけない。
作業道をじっくり見学した後はチェーンソー体験!
人生二回目。
*臼田さん撮影
両脚に挟んでエンジンをかける方法を教わったが、力不足で不発に終わる…
続いて地面に置いてかける方法を教わり、おそるおそる丸太切り体験。
いつか慣れる日が本当に来るのだろうか… いや、経験を積めば必ず来ると信じたい。
何事も。
(音にご注意下さい)
伐倒体験も用意して頂いていたが、前日の田舎の草刈り作業で疲労が蓄積し、集中力散漫で怪我するかもしれないと咄嗟に判断し、大事をとって辞退した。
以前の私なら、「折角の機会なのだから!」と身体にムチ打ってでも体験していただろう。
色んな意味で歳をとったと実感した。
次に案内してもらった場所は、広葉樹の森。
子ども達の木育の場として整備中だそうで、人工林とは全く違う温かみを感じた。
ライブもできそうな場所発見!
自分の田舎にもこういうエリアが欲しいなあ〜 。 森林組合曰く、私の所有する山の約半分がこうした雑木の山らしいので、探せばきっとなだらかな森があるかも。 夢はどんどん膨らむ。
F.W.さんの素晴らしい事業の数々を見学した後は、一緒にランチへ。
庄原市議会議員徳永泰臣さんのお店「モビィ・ディック」に伺った。
徳永さんは以前ひだまりカフェライブにお越し頂いたことがあり、今回庄原入りした日の夜、ひだまりカフェさんで音楽仲間が開いてくれた歓迎会に来て下さった(その節はありがとうございました!)。
この日はご不在で残念ながら会えなかった。
奇遇にも、徳永さんも以前から自伐型林業に興味を持たれ、自伐の盛んな自治体への視察や勉強会に参加された経験がおありだそう。
自伐に縁を感じながら、F.W.の草川さんと臼田さんと山のことやこれまでのお二人の人生についてじっくり話を聞きランチを味わった。
中原中也の詞の一節に「彼女の心は真(ま)っ直(すぐ)い!」というのがある。 先日、朝の連ドラの中でも引用されていた。
「彼女」を「F.W.の方々」に置き換えたい。
F.W.の皆さんと話せば話すほど、「真っすぐい」という表現が頭に浮かぶ。
今回の現場訪問で、より一層、F.W.さんと共に環境保全と林業を両立させる方法を一緒に考えたい、という想いが強くなった。